高知県「モネの庭」の旅
令和5年6月16日(金)~17日(土) 晴れ
有名なモネの「睡蓮」。
世界で唯一、その絵のモデルのフランス.ジヴェルニーの「モネの庭」を再現した高知県の北川村「マルモッタン」に行って来ました。
晴れていると本当に気持ちのいい明石大橋を越え、淡路島の高速道路を快適に飛ばすと、あっという間に鳴門海峡にやってきました。金曜日の朝ですから、もちろん徳島の道路は通勤のための渋滞。それでも、高速道路を走らず国道55号を通って、室戸岬をぐるっと回って行くことにしました。
【馬路村で温泉に入る】
柚子の里として知られた馬路村。海岸から山に入って行くと、静かで穏やかな村に到着しました。真ん中を川が流れる細長い小さな村でした。村の至るところに柚子が植えられ、村の中央に柚子の加工場がある、柚子と森林の匂いが漂う場所です。まず、村に着くとふるさとセンター「まかいちょって家」に行きます。そこで村の説明を伺い、村のアプリを入れます。このアプリをいれると、馬路温泉の入湯料が無料になります。
村には食べる所は、馬路温泉かやまなみ食堂しかありません。やまなみ食堂は一時までしか入れず、必然的に馬路温泉に行くことに。
馬路温泉は、ふるさとセンターから川に沿って村の端まで行ったところにあります。
メニューには、あかうし、土佐ジロー、アマゴ、鮎などの料理が。
どれも魅力的でしたが、私はあまごの唐揚げ丼。
バリバリの唐揚げに特製の柚子酢だれをかけて頂きます。アマゴはもちろんですが、この柚子酢だれが本当に美味しかった‼️香り高くて、ポン酢より濃い味が、しっかり具材にからまって、アマゴの淡白な味が膨らみました。
夫が注文したのは、赤牛の焼き肉丼。前回の高知の旅行で食べそこなったからだそう。
しっかり肉が乗っかっていて、かなりのボリューム。甘辛いタレがごはんによく絡んでいました。
最後に箸袋がちょっといい感じ。
温泉に入る前に、村を散策することにしました。温泉の敷地内にあった施設に張られていたポスターがとても印象的です。
温泉の向かい側には、かつて林業で栄えた頃、木を運ぶ森林鉄道が走っていて今でもその頃の列車を縮小したものや、急な斜面の運搬用のインクラインに乗ることができるそうです。
川沿いの村をゆっくり歩くと、なんだかゆったり時間が流れて行くようなんです。
馬路村の飲料水のラベルは、この村をよく表しています。この後、温泉に入ったのですが、平日の昼間ということもあり、お客さんは私一人だけ。日差しが燦々と入る明るい半露天風呂。お湯はやや熱いけれど、お湯からあがると、柚子のエキスでも入っているのかと思えるほどの、しっとり感。驚きました。
【黒潮鉄道に乗って大山岬の夕日を見に行く】
宿泊地は奈半利。そこから一時間に一本しかない電車に乗り、大山岬に夕日を見に行きました。
無人駅「下山」に6時40分くらいに着くと、そこはだれもいないビニルハウス。そこから海岸に向かって歩いて堤防へ。
あいにくの雲が太陽を隠していましたが、何とか太平洋に沈む夕日を見ることができました。太陽が沈むと同時に、また下山駅へ直行です。なんせ一時間に一本の電車です。
この土佐黒潮鉄道、駅ごとにやなせたかしのキャラクターがあり、なかなか面白いものです。帰りの電車の車内はそのキャラクターで埋め尽くされていました。
【ゲストハウス「よろずや」に泊まる】
今回の旅は、急に思い立ってのことなので、とりあえず「モネの庭」に近いところを選びました。ゲストハウスに泊まったこともなければ、そもそもゲストハウスとは何かも知らずに、「よろずや」に泊まることになりました。
そこは、ごく普通の民家、玄関には「遍路宿」とありました。入っていくと人の良さそうなおじさん、伊藤さんが迎えてくれ、食事場所や駅、ガソリンスタンドなど、地図を用意して説明してくれました。今から、大山岬に行くと聞くと、時刻表を検索しコピーして、周辺の情報をおしえてくれ、本当に有り難かったです。
大山岬を見て、食事をして戻ってきたのが、10時少し前。到着すると、部屋の横の台所で伊藤さんともう一人の女性がビールを飲んでおられました。一緒に飲みましょうと誘って下さって、話を伺うと、伊藤さんが「この方のおじいさんは高知県安芸市の作曲家で、弘田龍太郎さんです。」と紹介されました。弘田龍太郎さんは、「叱られて」「春よこい」「鯉のぼり」などを作曲されたとか。その方のお孫さんだそうで、お母さんもピアニストで、その方も「あかる潤」という名前で、日本の横笛の奏者として活躍しておられるそうです。
ゲストハウスは、どこでもこんな風に泊まり客同士やオーナーさんと交流があるわけではないと思います。この伊藤さんの人柄によるものなんでしょうね。大変得をした気分になりました。
建物は、ちょっと古いですが、楽しい一時を持つことができました。
【北川村「モネの庭 マルモッタン」】
翌朝、「よろずや」さんで借りた自転車でマルモッタンまで、約二キロ。朝、9時に駐車場に行くと、もうかなりの人が入っていました。
園内は、水の庭、ボルディゲラの庭、花の庭に分かれています。
(水の庭)
モネが描いた睡蓮の咲き乱れる庭。モネの絵が再現されています。
(ボルディゲラの庭)
モネが訪れた地中海。その光と色彩が再現されています。
(花の庭)
駐車場を挟んだギャラリー横にある花の庭。
モネの絵が展示してあるギャラリーを出たデッキでは、パン屋さんがあったりカフェがあったり。気持ちよく過ごせます。
今回、睡蓮は満開ではなく、反対に絵に描かれていたバラは、もう散ってしまっていました。でも、十分、モネの庭の雰囲気をたんのうでき、絵の中に入り込めたような気分を満喫することができ、満足です。
【室戸岬】
もう少しで室戸岬という所から、ぐっと急な坂道をのぼると、そこには、空海ゆかりの最御崎寺があります。
境内には、石で叩くと金属のような音のする岩がおかれてあり、空海が807年に創建した寺は、とても不思議な雰囲気の厳かなものでした。
発御崎寺を超えて、太平洋が一望できるところに灯台があります。
ここも、恋人の聖地だそうで、それらしいハートマークのものがありましたが、あんまり美的ではない感じです。そんなものがなくとも、太平洋が広がる景色は、清々しいものです。
(室戸岬)
灯台からまた急な坂道をジェットコースターの如く降りると、すぐに室戸岬が。
月見ヶ浜は、数千年前の地面が隆起し、ひっくり返り、まるで子供がおもちゃ箱をぶちまけたようです。本来なら、横に積み重なるべき地層が地面と直角に立っている様子は、地球の歴史を体感させてくれました。
月見ヶ浜からもう少し海岸沿いをはしると、空海が修行したとされる「御厨人(みろくどう)」がありました。
かつて海に侵食されてできた洞窟が、二つあり、右側が「神明窟」、空海が修行していた場所。左側が「御厨人」で生活していた場所だそうです。
空海が全国を回って修行した話は聞いたことがありましたが、、実際に修行場所を見ると、感慨を覚えました。
今回の高知の旅は、「マネの庭」を見たいというところから始まりましたが、馬路村の穏やかな空気、奈半利の宿の人とのふれあい、室戸岬で知った地球の大きさなど、思わないほどたくさんの実りあるものでした。